情シス(情報システム)の仕事とは?:仕事内容を社内の情シス担当者に聞いてみた!

情シス(情報システム)の仕事とは?:仕事内容を社内の情シス担当者に聞いてみた!

1:情シス(情報システム)とは?その役割と重要性

情シスとは「情報システム部」の略称で、企業内のIT分野の専門家が所属する部署の1つです。私たちが日々の業務でITを利用する上で、欠かせない存在です。

情シスの役割

一般的には、社内で扱うITインフラや情報システムの企画・開発・運用・保守に携わる部門です。この部門の主な役割は、企業の情報システムが抱える課題を解決すること、情報システムを活用して業務効率化につなげることです。
また、セキュリティ対策(BCP対策を含む)については、情シスが担当する場合もあれば、セキュリティ専門の部署やチームが担当する場合、さらには外部へのアウトソーシングで対応するケースもあります。
企業の規模や業種によって、情シスの業務範囲や役割は大きく異なるのが特徴です。

経営戦略における情シスの位置づけ

現代の企業の経営戦略において情報システム部は、極めて重要な位置づけを持っています。従来はIT機器の保守や運用が主な役割でしたが、IT戦略が経営課題を解決する手段の1つである現在では、企業を成長させる上で役割も大きく変化しています。
情報システム部は、単なる技術部門ではなく、経営部門と連携して戦略を主導する役割が期待されています。なかでもCIO(最高情報責任者)は、経営層の1人として情報システムが企業全体の戦略にどう貢献できるかを主導します。
特に、ビジネス全体の仕組みを変化させようとするDXの観点からも、情報システムは競争力の強化や業務の効率化を実現する上で非常に欠かせない存在となっています。

2:情シスの仕事内容

「情シスの仕事」と一言でいっても、企業の規模や業種、会社の方針によって業務内容も配置される人数も異なります。

主な仕事内容は、次のとおりです。

  • 会社で使うIT機器やネットワーク・サーバー構築・運用・保守
  • 社内システムの開発・管理・運用
  • ヘルプデスク業務
  • BCPを含めたセキュリティ対策
  • IT戦略の立案と実施
情シスの仕事内容

会社で使うIT機器やネットワーク・サーバー構築・運用・保守

企業で利用するネット―ワークやサーバーの構築、運用やメンテナンス等を行います。社内にネットワークに詳しい人材がいない場合は、アウトソーシング(外注)することもできる業務の1つです。

社内システムの開発・管理・運用

企業で利用しているサービス等のライセンスの契約(更新)や、アカウントの作成・権限設定を行います。また、システムの安定稼働を維持するために、定期的なメンテナンスやトラブルシューティングを行い、各種ソフトウェアやハードウェアの更新状況を管理します。さらに、利用者にトレーニングを実施して、業務効率化を支援しています。

ヘルプデスク業務

すべての従業員が滞りなく業務を遂行するために、パソコンの不具合や、ネットワークの問題、システムの動作不良等、従業員からの問い合わせに対応します。問題箇所を特定し、迅速に解決を図ります。他にも、使い方の分からないアプリケーションの説明等、業務に支障がでないように支援することも業務の1つです。

セキュリティ対策(BCPを含める)

BCP(Business Continuity Plan)とは、テロや災害、システム障害などの危機的な状況が発生した際に、企業の重要な事業を継続するための計画や対策を指します。この計画は、事業の中断を最小限に抑え、迅速な復旧を目指すものです。平常時に行う活動や、緊急時における事業継続のための方法や手段などを決め、対策を日常的に進める役割があります。情報資産の1つである電子データのバックアップをとることや、クラウド等にデータを保存しておくことで地震等の自然災害が発生した場合にも、被害を最小限に抑えて復旧ができるようになります。また近年では、ランサムウェアなどのサイバー攻撃が増加しているため、それに伴いセキュリティ対策も重要になっています。

中小企業庁からも、中小企業BCP策定運用指針が出ており、これから計画を検討される企業は参考になるかもしれません。

IT戦略の立案と実施

情報システム部における重要な業務の一つに、組織全体の目標やビジョンに沿ったIT戦略の立案と実施があります。この業務には、現状の課題を把握し、中長期的な視点でITを活用するための計画を策定することが含まれます。
例えば、システム統合や業務プロセスの自動化、クラウドの活用、BIツールの導入によるデータ分析などを通じて、業務の効率化やコスト削減、顧客体験の向上を実現し、企業価値を最大化することです。組織の持続的成長を支える中核的な役割を果たします。
事業戦略や市場動向を踏まえたITの役割や目標を明確にし、経営層や各部署と密接に連携していくことが重要です。

3:【社内インタビュー】情シスの業務紹介

ここでは弊社の情報システム部門(情シス)の業務について解説していきます。

クオリティソフト社情シスの業務をご紹介

弊社は国内に複数の拠点があり、従業員は合計200名弱です。情報システム部には4名の人員が配属されています。4名はそれぞれ担当する業務が異なります。
当社も情シスの業務はIT機器の管理から社内インフラの運用、またDX推進に絡んだ業務まで多岐にわたりますが、今回は主にIT機器(端末)の運用管理についてご紹介いたします。

IT機器の運用管理は、従業員が利用するPCの他に、会議室の機材等の保守・運用も情シスの仕事に含まれています。室内のモニター設置や会議用の機材(マイクやスピーカー)から電源タップの準備まですべてです。

従業員には1人1台のパソコンが支給され、社員が利用するパソコンの選定、手配からレンタル業者への返却に至るまで、情報システム部で対応しています。
端末には部署ごとに業務に必要なアプリケーションのインストールなどキッティング作業もしています。すべての端末にチャットツールがインストールされており、業務で利用する端末や機器の困りごとは、チャットツールの専用チャンネルで連絡する運用をしています。サポート依頼があった場合は、個別のチャットで対応したり、拠点が離れている場合は遠隔操作でサポートすることもあります。

例えば、「社内利用ソフトのワンタイムパスワードが使えない」「VPNの設定をしてほしい」「社給スマホを利用できるように設定してほしい」「Web会議アプリが繋がらない」等、多岐に渡ります。

社内で使用するすべての端末を管理するために、自社製品のISM CloudOneを使っています。ISM CloudOneは、クラウド型IT資産管理システムで、企業で使用するサーバー、パソコン、スマートフォンなどの端末を一元管理ができます。弊社の情報システム部門で利用頻度が高い機能は次の6つです。

機能 機能概要
インベントリ収集 ハードウェアやソフトウェアの情報を自動で収集する機能
配布 ファイルやフォルダー等を特定の端末に配り、端末で使える状態にする機能
リモート操作 遠く離れた場所にある端末を手元で操作する機能
脆弱性診断
(ダッシュボード)
OSやソフトウェアに最新のプログラムが適用されているかを診断する機能
操作ログ 利用者が端末を使って操作した内容を記録する機能
外部デバイス制御 USBデバイスや外付けのハードディスク、タブレット端末などをパソコンに接続する際、接続の可否を管理/制御する機能

定期的にハードウェアやソフトウェアの情報(インベントリ)が収集されたかどうかをISM CloudOneのダッシュボードで確認しています。確認するポイントは、不審なアプリがインストールされていないか、脆弱性のある端末がないかです。
セキュリティインシデントが発生した場合は、ISM CloudOneから管理者宛てにアラートが通知があります。管理者は、ISM CloudOneでアラート対象の操作ログを確認、必要に応じて他の製品のログや通信ログを確認して、総合的にインシデントの調査・状況把握に努めています。

2025年2月現在、情シスの仕事で大半を占めている業務は、2月、3月でレンタル期限を迎える端末の入れ替え作業です。約30台ほどあり対応を進めています。また、2025年10月14日にサポート終了を迎えるWindows 10が入っている端末についても順次Windows 11に交換しています。ISM CloudOneのダッシュボードから「OS別台数:Windows」の円グラフを見て、OSの移行が必要な残数を確認しています。

ISM CloudOneダッシュボード

ISM CloudOneダッシュボード

情シス業務の課題

現在、業務システムの刷新を進める上で、過去の契約やサービス等「デジタル遺産」が残っていることが課題となっています。これらが課題となっている理由は、情報システム部以外の部署の従業員が利用していたものや、現在の責任者が不明であったり、退職者がそのまま管理者になっている場合もあります。過去に契約やサービス等を利用していた従業員と同じ部署に所属していたメンバーに確認を取りながら、「デジタル遺産」を残さないよう情シスで対応を進めています。

4:情シスに求められるスキル

情シスの業務は多種多様なため、求められるスキルも多岐にわたります。

ITに関する幅広い知識

社内システム全般を担当するため、ネットワーク管理やサーバー運用、クラウド環境などを含む幅広いITに関する知識が求められます。
また、進化を続けるクラウド技術やAI、IoT機器、データ分析といった新しい技術や製品への学習意欲も必要になります。プログラミングやデータベース管理のスキル、サイバー攻撃の手口や最新のセキュリティ対策方法についての知識は、システムの開発や安全性を担保するために欠かせません。

問題解決力やコミュニケーションスキル

社内システムを円滑に運用するためには、トラブルが発生した際に状況を確認し、迅速かつ的確に問題を解決する能力が求められます。また、技術的な内容をわかりやすく説明するコミュニケーション能力も大切です。

プロジェクト管理などの経験もあるとなお良い

プロジェクトマネージャーとしての経験は、システム設計や要件定義をしたり、情報システム部が他部門と連携し、組織全体の効率化や問題解決を推進するために重要です。特に、各部門の業務プロセスを深く理解し、それに適したITソリューションを提案できる能力が求められます。

これらを総合的に備える人材が、情報システム部での成功に繋がることでしょう。

5:【まとめ】情シスが企業で果たす役割

企業における「情報システム部(情シス)」は、現代のビジネス環境において欠かせない役割を担っています。

情シス部門は「縁の下の力持ち」として、日常業務の円滑な遂行を支える基盤を整えています。例えば、システム障害への迅速な対応やセキュリティインシデントの未然防止、業務効率化を実現する新しいツールの導入など、多様な貢献を行っています。さらに、近年はデジタル化が進み、「縁の下の力持ち」に留まらず、経営者とともにIT戦略の立案・策定を行う「攻めの情シス」「経営者の伴走者」としての役割も増えてきています。

企業の競争力を維持・向上させるためには、情報システム部の支援が不可欠です。これを機に、情シス部門の重要性を再認識し、社内の体制強化や理解促進を図ることが、企業全体の成長につながると言えるでしょう。

本記事を通じて、弊社の情シス部門がどのような業務を行っているのか、その一端でもお伝えできていれば幸いです。