初回公開日:2024年3月25日
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」は、自社のセキュリティ対策を見直すうえで重要な指標です。しかし、「何が危険か」は理解できても、「具体的に何をすればよいのか」まで落とし込めていない企業も少なくありません。
特に近年は、ランサムウェアの高度化やサプライチェーン攻撃の拡大により、従来の“防御中心”の対策だけでは不十分になっています。
本記事では、IPAの内容をベースに、中小企業が優先して実施すべき対策を“実務レベル”で整理します。

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1:情報セキュリティ10大脅威2026(組織編)とは
「情報セキュリティ10大脅威」とは、IPAが毎年発表しているランキングで、前年に社会的影響が大きかったセキュリティリスクを専門家の評価に基づき整理したものです。
情報セキュリティ10大脅威 2026[組織]
| 順位 | 「組織」向け脅威 | 初選出年 | 10大脅威での取り扱い(2016年以降) |
|---|---|---|---|
| 1 | ランサムウェア攻撃による被害 | 2016年 | 11年連続11回目 |
| 2 | サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 | 2019年 | 8年連続8回目 |
| 3 | AIの利用をめぐるサイバーリスク | 2026年 | 初選出 |
| 4 | システムの脆弱性を悪用した攻撃 | 2016年 | 6年連続9回目 |
| 5 | 機密情報を狙った標的型攻撃 | 2016年 | 11年連続11回目 |
| 6 | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む) | 2025年 | 2年連続2回目 |
| 7 | 内部不正による情報漏えい等 | 2016年 | 11年連続11回目 |
| 8 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 | 2021年 | 6年連続6回目 |
| 9 | DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃) | 2016年 | 2年連続7回目 |
| 10 | ビジネスメール詐欺 | 2018年 | 9年連続9回目 |
出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」
近年は、攻撃手法の高度化(多段階攻撃・自動化)や、攻撃対象の拡大(中小企業・サプライチェーン)といった傾向が顕著になっています。企業規模を問わず対策が求められています。
2:2026年に中小企業が特に警戒すべき3つの脅威
10大脅威の中でも、特に中小企業にとって影響が大きいポイントを3つに整理します。

1.ランサムウェアは「侵入後の横展開」が主戦場に
ランサムウェアは依然として最大の脅威ですが、近年ではデータを暗号化しない「ノーウェアランサム」や、多重の脅迫を伴う攻撃など、手口の高度化も進んでいます。現在の攻撃は単純な感染にとどまらず、侵入後に権限昇格やラテラルムーブメント(横展開)を行い、ネットワーク全体を掌握する手法が主流です。
攻撃者は次のような流れで被害を拡大させます。
- VPNや認証情報の悪用による侵入
- 管理者権限の奪取(特権アカウントの乗っ取り)
- 社内ネットワーク内の横断的な侵入(ラテラルムーブメント)
- バックアップや監視機能の無効化
- 最終的なデータ暗号化・窃取
このような攻撃に対しては、事前の予防策に加え、エンドポイントの挙動監視や操作ログの分析、異常な権限利用の検知といった“侵入後を前提とした対策(EDR的アプローチ)”が不可欠です。
2.サプライチェーン攻撃は「踏み台化」のリスクが本質
サプライチェーン攻撃は、セキュリティ対策が比較的弱い企業を経由して、本来の標的へ侵入する手法です。中小企業にとっては、自社が被害を受けるリスクと取引先への攻撃の“踏み台”になるリスクの両方を持つ点が重要です。
近年は、取引先選定においてセキュリティ対策状況が評価対象となるケースも増えており、対策の有無がビジネス継続に直結する状況になっています。
3.生成AIの普及で拡大する“人的リスク”と情報漏えい
近年は、生成AIの業務利用が進む一方で、意図しない情報漏えいリスクが新たに顕在化しています。たとえば、業務データや顧客情報を外部のAIサービスに入力してしまうことで、機密情報が社外へ流出する可能性があります。
また、従来から問題となっている内部不正や操作ミスに加え、シャドーAI(企業が把握していない生成AIの利用)や、不適切なデータ処理といった新たなリスクも増加しています。
これらのリスクに共通するのは、「ユーザーの行動に依存している」という点です。具体的には、操作ログの取得やアクセス制御、データの持ち出し管理といった技術的対策に加え、従業員へのAI利用に関する教育やルール整備といった運用面での対策も重要になります。
3:なぜ中小企業が狙われるのか(構造的な課題)
中小企業が攻撃対象となる背景には、技術的な問題だけでなく、運用面の課題が存在します。
- IT資産が正確に把握できておらず、どの端末やシステムが攻撃対象になり得るのか分からない状態
- パッチ適用が徹底されておらず、脆弱性が放置されている
- 特権アカウントの管理が不十分で、不正利用のリスクが高い
- ログが取得されていても活用されておらず、異常に気付けない
このような状態では、攻撃の侵入や拡大を防ぐことが難しく、結果として「対策が不十分な企業」として狙われやすくなります。
これらの課題は単体の対策では解決できず、継続的な運用と可視化の仕組みとして整備することが重要です。特に中小企業では、IT担当者が1人または少人数で運用を担うケースも多く、限られた人員で継続的に管理できる仕組みづくりが重要です。
4:10大脅威に共通する対策|実務レベルのチェックリスト
ここでは、IPAが提示する対策の考え方も踏まえながら、現場で実装すべき対策を技術面・運用面の両面から整理します。
参考:IPA「情報セキュリティ10大脅威2026解説書[組織編]」
ランサムウェア対策
- OS・ソフトウェアのパッチ適用を自動化(WSUS等)
- 管理者権限の棚卸しと最小権限化
- エンドポイントの挙動監視(プロセス・通信)
- バックアップのオフライン保管と定期検証
これらは「脆弱性対策」「アクセス権限管理」「バックアップ運用」といった共通対策に該当します。
内部不正・情報漏えい対策
- ファイル操作ログの取得(コピー・削除・持ち出し)
- USB・外部デバイスの利用制御
- アクセス権限のロールベース管理
- ログの定期レビューとアラート設定
標的型攻撃・メール対策
- メールフィルタリングとサンドボックス
- URLアクセス制御
- フィッシング訓練の実施
脆弱性・ゼロデイ対策
- 脆弱性情報の収集と優先度付け
- 未更新端末の可視化
- 緊急パッチ適用フローの整備
中小企業が最優先で実施したい3つの対策
- IT資産を可視化する
- OSやソフトウェアの更新を徹底する
- ログ取得と監視体制を整備する
重要なのは、これらを“個別に対応する”のではなく、組織として一元的に管理し、継続的に運用できる体制を整えることです。
5:セキュリティ対策が機能しない企業の共通点
多くの企業では、IT資産管理・ログ管理・更新管理が個別に運用されており、情報が分断された状態(サイロ化)になっています。
このような環境では、どの端末が影響を受けているのか把握できず、パッチ未適用の脆弱性も特定できません。また、不審な操作の追跡も困難になるため、インシデント発生時の初動対応が遅れるだけでなく、原因の特定や再発防止にも時間がかかります。
6:ISM CloudOneで実現する“統合的な対策”
多くの企業では、IT資産管理・ログ管理・パッチ管理が個別に運用されており、脅威に対して統合的な対応ができていないケースが見られます。これらを一元的に管理し、エンドポイントの状態を継続的に可視化する仕組みが求められます。
ISM CloudOneでは、
- IT資産の一元管理(端末・ソフトウェアの可視化)
- パッチ適用状況の管理と自動化
- 操作ログの取得と分析
- デバイス制御による持ち出し対策
をクラウド上で統合的に実現できます。
詳しくはこちら
このような統合管理により、攻撃対象となる端末を正確に把握できるようになり、パッチ未適用の脆弱性にも迅速に対応できます。さらに、インシデント発生時にはログをもとに原因を特定できるため、初動対応の迅速化と再発防止につなげることが可能です。
7:10大脅威2026の対策は「可視化」と「継続運用」から始める
情報セキュリティ対策は「導入して終わり」ではなく、「継続的に管理・運用できるか」が成否を分けます。
特に中小企業では、次の課題が残ったままになっているケースも少なくありません。
- IT資産が把握できていない
- ログが取得されていない、または活用できていない
- 更新管理が徹底されていない
まずは、自社のエンドポイントがどこまで可視化・管理できているかを把握し、不足している対策から段階的に整備していくことが重要です。

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- 【実用版】エンドポイント・セキュリティ対策チェックリスト
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