ひとり情シスとは?よくある課題と対策|属人化を防ぐIT管理のポイント

ひとり情シスとは?よくある課題と対策|属人化を防ぐIT管理のポイント

初回公開日:2018年9月7日

社内のIT管理や問い合わせ対応を、実質的に一人で担っている――。そのような状態は「ひとり情シス」と呼ばれています。
中小企業を中心に増えている一方で、問い合わせ対応やPC管理、セキュリティ対策、システム運用など、幅広い業務が担当者に集中しやすいという課題があります。

特に、ExcelによるIT資産管理や手作業での更新管理は、属人化や管理漏れを招きやすく、担当者の負担増加やセキュリティリスクにつながるケースも少なくありません。

本コラムでは、ひとり情シスが抱えやすい問題点や背景を整理したうえで、負担軽減につながる対策や、IT資産管理ツールを活用した効率化のポイントをわかりやすく解説します。

1:ひとり情シスとは?

ひとり情シスとは、企業内のIT管理や情報システム業務を、1人または少人数で担当している体制を指します。正式な名称ではありませんが、中小企業を中心に広く使われている言葉であり、社内のIT担当者が実質的に1人で幅広い役割を担っているケースも少なくありません。

ひとり情シスが担当する業務は多岐にわたり、例えば次のような業務があります。

  • PC・スマートフォンなどIT資産の管理
  • アカウント管理
  • ソフトウェアやOSの更新管理
  • 社内からの問い合わせ対応
  • ネットワークやサーバーの運用
  • セキュリティ対策
  • SaaSやクラウドサービスの管理
  • システム導入・運用支援

本来であれば複数人で分担するような業務を、限られた人数で対応している企業も多く、担当者の負担が大きくなりやすい点が特徴です。

クラウドサービスやテレワーク環境の普及により、管理対象となるIT機器やシステムが増加しています。その一方で、IT人材不足が続いていることから、ひとり情シスの体制を維持している企業も少なくありません。

その結果、担当者への負担が集中し、対応漏れやセキュリティインシデントなど、さまざまな課題につながるケースも増えています。

2:ひとり情シスが増えている背景

近年、「ひとり情シス」と呼ばれる体制は、多くの企業で見られるようになっています。
その背景には、IT環境の変化や人材不足など、さまざまな要因があります。

まず大きな要因として挙げられるのが、IT人材不足です。
DX推進やテレワークの普及により、企業に求められるIT対応の範囲が拡大しています。経営や事業運営においても、IT部門の役割や重要性は高まっています。

しかし、その一方で、IT人材の採用や育成は難しく、専門知識を持つ人材やITインフラやクラウド環境を運用できる人員が不足している企業も少なくありません。
特に中小企業では、専任の情報システム部門を設置することが難しく、総務担当者や管理部門の社員がIT業務を兼任しているケースもあります。

例えば、クラウドサービスやテレワーク環境の普及によって、従来よりも高度化・複雑化した管理業務が増えています。

  • SaaSごとのアカウント・権限管理
  • テレワーク端末や社外ネットワークの安全管理
  • シャドーITの把握や利用制御
  • OSやソフトウェアの更新管理
  • 巧妙化するサイバー攻撃への対応
  • 社員向けセキュリティ教育

こうした業務は、従来の社内PC管理だけでは対応しきれない範囲まで広がっており、ひとり情シスが管理しなければならない領域は拡大しています。さらに、会社によっては「IT担当者が1人いれば十分」という認識のまま運用が続いているケースもあり、担当者への業務負担の集中につながることがあります。

3:ひとり情シスが抱えやすい問題点

ひとり情シスが抱えやすい問題点
問い合わせ対応からPC管理、セキュリティ対策まで、気づけば多くの業務が1人に集中している──。

ひとり情シスでは、このような状況が起こりやすく、業務の属人化や対応遅れにつながるケースも少なくありません。
特に、IT管理を手作業や個人の経験に依存している場合、担当者の負担が増えるだけでなく、セキュリティリスクや事業停止につながる可能性もあります。

ここでは、ひとり情シスが抱えやすい代表的な問題点を解説します。

問い合わせ対応が担当者に集中する

ひとり情シスでは、社内のITに関する問い合わせや相談が、特定の担当者に集中する傾向があります。
「PCが動かない」「パスワードを忘れた」「プリンターにつながらない」「ソフトウェアが起動しない」など、日常的な問い合わせ対応に多くの時間がかかるケースも少なくありません。
その結果、本来取り組むべきIT戦略の企画や、IT環境全体の改善、セキュリティ対策などに十分な時間を確保できなくなることがあります。

IT管理が属人化しやすい

ひとり情シスでは、IT管理に関する情報や知識、運用手順が担当者一人に集中しやすくなります。

例えば、次のような情報や運用手順が明文化されていないケースもあります。

  • 管理台帳の保存場所
  • サーバーやネットワーク設定
  • アカウント管理方法
  • 更新手順
  • 障害発生時の対応方法

特に、表計算ソフトによるIT資産管理や手作業による運用では、担当者しか状況を把握できない状態になりやすく、引き継ぎが困難になる原因にもなります。また、対応手順や運用ノウハウが蓄積されにくく、新しい担当者への引き継ぎが難しくなってしまうケースもあります。

更新管理やセキュリティ対策が後回しになりやすい

ひとり情シスでは、日々の問い合わせ対応やトラブル対応に追われ、更新管理やセキュリティ対策が後回しになることがあります。

特に、次のような継続的な管理業務は、工数不足によって対応が遅れやすくなります。

  • OSやソフトウェアの更新確認
  • 脆弱性対応
  • ログ確認
  • 不要アカウントの整理
  • USB利用状況の確認

その結果、更新漏れや設定不備が発生し、サイバー攻撃や情報漏えい、業務への影響につながる可能性があります。

脆弱性対策については、次のコラムでも詳しく解説しています。
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【コラム】脆弱性対策とは?原因・手法・ツール・事例から学ぶセキュリティ強化の基本

担当者の退職時に業務が停止するリスクがある

業務の属人化が進んでいる場合、担当者の退職や異動によって、IT管理が継続できなくなるケースがあります。
担当者の退職や異動によって、次のような問題が発生することがあります。

  • 管理情報の保存場所が分からない
  • パスワードが共有されていない
  • 管理対象の端末数が把握できない
  • システム構成が不明
  • 更新状況が分からない

特に、IT資産管理やアカウント管理が整理されていない場合、後任の担当者への引き継ぎ負担が大きくなり、業務停止やセキュリティ事故につながる可能性もあります。

4:Excelや手作業による管理が限界を迎える理由

Excelや手作業による管理が限界を迎える理由
ひとり情シスの現場では、ExcelのIT資産台帳による管理や、人手による更新確認を続けているケースも少なくありません。しかし、管理対象となるPCやソフトウェア、クラウドサービスが増える中で、人手だけによる管理には限界があります。
特に、担当者1人で幅広いIT管理を行っている場合、台帳更新や確認作業が追いつかず、管理情報と実態が一致しなくなるケースもあります。

ここでは、表計算ソフトや手作業による管理で起こりやすい課題について解説します。

IT資産の実態把握が難しくなる

ExcelによるIT資産管理では、台帳の更新が手作業になるため、実際の利用状況と管理台帳の内容が一致しなくなりやすく、正確なIT資産の把握が難しくなることがあります。

IT資産管理については、次のコラムでも詳しく解説しています。
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【コラム】IT資産管理とは?目的・必要性から管理ツールの機能・選び方までわかりやすく

手作業による管理では、次のような状態になるケースもあります。

  • 退職者PCが台帳に残ったままになっている
  • 管理されていない端末が存在する
  • ソフトウェアの利用状況が分からない
  • 誰がどの端末を利用しているか把握できない

特に、テレワークやBYOD、クラウドサービスの普及によって、管理対象が増えている現在では、手作業だけで正確な情報を維持することが難しく、管理も複雑になっています。

更新漏れや対応遅れが発生しやすい

OSやソフトウェアの更新管理を手作業で行っている場合、確認作業や対応工数が大きな負担になります。
例えば、次のような確認作業を個別に行っている企業も少なくありません。

  • Windows Updateの適用状況の確認
  • ソフトウェアのバージョン管理
  • セキュリティパッチ適用確認
  • サポート期限の管理

しかし、管理対象が増えるほど確認作業が煩雑になり、対処が遅れるケースもあります。
特に、更新管理が担当者自身の経験や記憶に依存している場合、属人化によって対応品質に差が生じることもあります。

また、Windows Updateの適用漏れは、脆弱性を放置する原因にもなります。
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【コラム】Windows Updateとは?役割や種類、適用させない場合のリスクを解説

管理工数が増え、本来の業務に集中できなくなる

手作業によるIT管理では、日々の確認作業や問い合わせ対応に多くの時間が必要になります。
たとえば、次のような業務を人手で行っている場合、継続的な運用負荷が発生します。

  • 台帳更新
  • 棚卸し
  • アカウント確認
  • ログ確認
  • 利用状況の集計

その結果、セキュリティ対策の検討やIT環境改善、業務効率化、DX推進といった、本来注力すべき業務に十分な時間を確保できなくなるケースもあります。

5:ひとり情シスが実践したい改善策

ひとり情シスの負担を軽減するためには、担当者の努力だけに依存しない運用体制を整える必要があります。特に、IT管理を手作業や担当者個人の対応に依存している場合、業務量の増加に伴って属人化や管理漏れが発生しやすくなります。

そのため、業務の整理や運用ルールの見直し、自動化できる業務の洗い出しなどを進めながら、継続的な取り組みとして、管理負担を減らしていくことが大切です。
まずは、どの業務に工数がかかっているのかを整理し、現状把握と課題整理を進めることが重要です。

ここでは、ひとり情シスが実践しやすい主な対策を紹介します。

業務を可視化し、属人化を防ぐ

まず重要なのが、現在のIT管理業務を整理し、担当者しか分からない状態を減らすことです。

例えば、次のような情報を整理・文書化しておくことで、組織全体で運用状況を把握しやすくなり、引き継ぎ負担の軽減にもつながります。

  • 管理対象となる端末一覧
  • 利用中のSaaS・クラウドサービス
  • アカウント管理方法
  • 更新手順
  • 障害発生時の対応方法

また、問い合わせ内容や対応履歴を共有できる仕組みを整えることで、対応品質の標準化にもつながります。

マニュアルを作成しておくことで、担当者以外でも一定の対応が可能になり、チームや組織全体で運用しやすくなります。

管理ルールや運用フローを整備する

IT管理を担当者の判断だけで進めている場合、対応方法にばらつきが生じやすくなります。
そのため、次のような基本的な運用ルールを策定し、継続的に見直していく必要があります。

  • ソフトウェア導入ルール
  • アカウント発行・削除ルール
  • 更新管理のルール
  • USB利用時のルール
  • ログ管理方針

あらかじめルールを明確にしておくことで、問い合わせ対応やトラブル発生時の判断負担を減らしやすくなります。

自動化できる業務はツールを活用する

ひとり情シスでは、限られた人数で多くの業務に対応する必要があります。そのため、すべてを手作業で管理し続けるのではなく、自動化できる業務は、積極的にツールを活用することが有効です。例えば、次のような業務を自動化することで、管理工数の削減や、運用効率の向上につながります。

  • IT資産情報の収集
  • ソフトウェア更新管理
  • 脆弱性確認
  • ログ収集
  • 利用状況の把握

また、管理状況を可視化しやすくなるため、更新漏れや管理漏れの防止にも役立ちます。

必要に応じて外部サービスの活用も検討する

すべてのIT業務を社内だけで対応することが難しい場合は、予算や社内リソースに応じて、必要な範囲だけアウトソーシングサービスを活用する方法もあります。

ひとり情シスでは、問い合わせ対応からITインフラ運用、セキュリティ対策まで幅広い業務を1人で抱えてしまいがちです。そのため、すべてを内製化するのではなく、一部業務を外部へ任せることで、負担軽減につながるケースもあります。

例えば、次のような業務を外部に委託することで、社内負担を軽減できる場合があります。

  • ヘルプデスク対応
  • 監視運用
  • セキュリティ診断
  • システム保守

ただし、業務を外部委託する場合でも、自社内でIT資産やアカウント情報を適切に把握できていなければ、管理負担やセキュリティリスクが残る可能性があります。そのため、まずは現状把握や運用整理を進めたうえで、必要な支援を検討することが重要です。

6:IT資産管理ツールを活用するメリット

IT資産管理ツールを活用するメリット
ひとり情シスの負担を軽減するためには、IT資産や更新状況を効率的に把握できる仕組みを整えることが重要です。
特に、PCやソフトウェア、SaaSなどの管理対象が増えている現在では、表計算ソフトや人力中心の運用だけで正確な管理を続けることが難しくなっています。
そのため、多くの企業では、IT資産管理ツールを活用しながら、運用負荷の軽減やセキュリティ対策の強化を進めています。

ここでは、IT資産管理ツールを活用する主なメリットを紹介します。

IT資産の状況を可視化しやすくなる

IT資産管理ツールを活用することで、社内PCやソフトウェア、利用状況などを一覧で把握しやすくなります。

例えば、「どの端末が利用されているか」「誰が利用しているか」「どのソフトウェアが導入されているか」「更新状況はどうなっているか」などを確認しやすくなるため、管理台帳との不整合や管理漏れの防止につながります。

また、テレワーク環境や複数拠点など、管理対象が分散している環境でも状況を把握しやすくなります。

更新管理やセキュリティ対策を効率化できる

OSやソフトウェアの最新の更新状況を把握しやすくなることで、更新漏れや脆弱性放置のリスク低減につながります。
例えば、次のような更新・セキュリティ関連の管理業務を効率化しやすくなります。

  • Windows Update管理
  • ソフトウェア更新確認
  • セキュリティパッチ管理
  • 脆弱性の把握

更新漏れや脆弱性の放置を防ぎやすくなるため、セキュリティ管理品質の向上にもつながります。また、ログ管理や操作履歴の取得に対応したツールを活用することで、より高度な不正利用対策や情報漏えい対策にも役立ちます。

属人化防止や引き継ぎ負担の軽減につながる

IT資産や運用状況を可視化できる環境を整えることで、担当者だけに依存した管理から脱却しやすくなります。

たとえば次のような情報を共有しやすくなることで、後任担当者でも現在の運用状況を理解しやすくなります。

  • 管理対象端末の情報を共有できる
  • 端末利用状況を一覧化できる
  • 更新状況を把握できる
  • 管理者側の操作履歴を残せる

その結果、退職や異動時の引き継ぎ負担軽減にもつながります。

クラウド型ツールなら管理負担を抑えやすい

近年は、クラウド型のIT資産管理ツールを導入する企業も増えています。
クラウド型のツールは、管理サーバーの構築や保守が不要なため、比較的少ない工数で運用を始めやすい点が特徴です。特に中小企業では、運用コストを抑えやすい点もメリットです。
また、インターネット経由で管理できるクラウド型ツールであれば、テレワーク端末や複数拠点のPCも一元的に管理しやすくなります。

特に、ひとり情シスでは「管理ツールそのものを管理する負担」を減らすことも重要になります。管理対象の可視化だけでなく、運用負荷の軽減まで考慮してツールを選定することが大切です。

たとえば、クラウド型IT資産管理ツール「ISM CloudOne」では、IT資産管理や更新管理、ログ管理などを一元的に行うことができ、ひとり情シスの運用負担軽減にも役立ちます。

まとめ|ひとり情シス対策ではIT管理の可視化と効率化が重要

ひとり情シスとは、企業内のIT管理や情報システム業務を、一人または少人数で担当する体制を指します。DX推進やクラウドサービスの普及によって管理対象が増える一方、IT人材不足も続いており、ひとり情シスの負担は大きくなりやすい状況です。

  • 問い合わせ対応の集中
  • IT管理の属人化
  • 更新管理の対応遅れ
  • セキュリティ対策の不備
  • 引き継ぎ時の混乱

などは、多くの企業で深刻な課題になっています。

こうした問題を改善するためには、業務の可視化や運用ルール整備に加え、IT資産管理ツールなどを活用しながら、継続的に管理負担を軽減していくことが重要です。

担当者の努力だけに依存するのではなく、企業として「誰でも状況を把握しやすい運用体制」を整えることが、安定したIT管理や継続的なセキュリティ対策につながります。

まずは、自社のIT資産や更新状況、アカウント管理方法などを整理し、現在の運用状況を可視化するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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コラム編集部
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