シャドーITとは?急増する原因やセキュリティリスクをわかりやすく解説

シャドーITコラム:アイキャッチ

初回公開日:2023年8月29日

1:はじめに

近年、SaaSやクラウドサービスの普及、そしてリモートワークの定着により、社員が便利なサービスやツールを自己判断で導入するケースが急増しています。このような企業が把握できていないアプリや端末が業務利用されている状態を「シャドーIT」と呼びます。
一見すると仕事の効率が上がるように見えますが、管理が行き届かないシャドーITは、情報漏洩やセキュリティリスク、ライセンス違反の原因になりかねません。情報システム部門にとって、見過ごせない課題です。
本記事では、シャドーITの定義や利用が増加する背景、情シス担当者が直面しやすいリスクや解決の方向性を解説します。

2:シャドーITの定義と背景

シャドーITという言葉を耳にしても、具体的にどのような状態を指すのか分かりにくい方も多いかもしれません。まずは、シャドーITの意味を明確にし、なぜ近年その存在が注目されているのかを整理していきましょう。

シャドーITの定義

シャドーITとは、企業の情報システム部門が把握・管理していないIT機器やクラウドサービス、アプリケーションなどが、社員によって業務で利用されている状態を指します。
例えば、

  • 社員が会社支給のPC以外に、私物スマートフォンやタブレットを仕事で使用
  • 会社で許可されていない個人契約のクラウドストレージをファイル共有に使用
  • 個人のWEBメールやSNSで業務連絡をする
  • 個人のUSBメモリに社内のデータをコピーし、社外に持ち出す
  • 情報システム部門が使用を許可していないWebサービスやチャットツールを業務効率化のために勝手に利用する

といった事例があります。

シャドーITとBYODの違い

シャドーIT:
私物のデバイス(スマートフォンやタブレットなど)を業務に“無許可で”業務利用すること

BYOD(Bring Your Own Device):
私物のデバイスを会社内の“許可を得た上で”業務利用すること

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シャドーIT拡大の背景

クラウド技術やモバイルデバイスの普及により、社員は場所や時間に縛られず業務が可能になりました。オンライン会議ツール、個人契約のクラウドストレージやプロジェクト管理ツールなど、手軽に導入できるSaaSサービスは多数あります。導入コストが低く手続きも簡単なため、情報システム部門に相談せず自己判断で導入されるケースが増加しています。さらに、リモートワークの普及により、オフィス以外からのアクセスが増えIT部門による管理が難しくなったことも背景の一つです。そのため、セキュリティ対策が不十分なデバイスやサービスが無断で使用されると、情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを引き起こす可能性があります。このようなシャドーITの存在は、企業にとって、情報セキュリティ上の重要な問題となっています。

管理すべきIT資産とはどんなもの?

3:シャドーITが起こる主な要因

利便性と効率性の追求

従業員は、業務の円滑な進行や情報共有が可能になるなど、個人的なニーズや業務効率の向上を目的として、独断でソフトウェアやアプリ、クラウドサービスを導入する場合があります。例えば、部署内での情報共有のため個人使用のチャットツールを使って業務連絡をするといったケースです。

IT部門の手続きの煩雑さ

正式なITリソースやサービスの導入には、会社内の手続きや許可が必要です。これに対して、従業員は手続きの煩雑さを避けるため、自らツールを導入しようとすることがあります。

情報セキュリティに対する意識が低い

従業員が組織のポリシーやセキュリティリスクについて正しい情報を持っていない場合、シャドーITが起こるリスクが高まります。事前に業界のガイドラインに沿った社内ルールの策定、社内ルールの情報共有、従業員への教育が適切に行われていないと、従業員は自身で判断してツールを導入する可能性があります。例えば、営業担当者が社内クラウドへの資料アップロードに失敗し、焦りから使い慣れた個人のクラウドサービスに保存してしまう―――といったケースが考えられます。
これらの要因が重なることで、組織内でシャドーITが発生しやすくなります。

シャドーITが起こる3つの要因

4:シャドーITが企業にもたらすリスク

業務のさまざまな場面でクラウドサービスが使用されているため、気付かないうちにシャドーITが組織内で発生している可能性があります
しかし、気づかないままクラウドサービスを利用していると、会社に大きなセキュリティリスクをもたらすことになります。ここでは、シャドーITがもたらすリスクを例として紹介します。

情報漏洩やサイバー攻撃のリスク

社員が個人で導入したクラウドサービスやアプリは、企業のセキュリティポリシーに準拠していないことが多々あります。アクセス権限の設定が不十分だったり、暗号化されていない通信が行われると、そこから情報漏えいや不正アクセスが発生する恐れがあります。特に近年はフィッシングや標的型攻撃などが巧妙になっているため、シャドーITはサイバー攻撃の「入り口」となりやすいのが実情です。

ライセンス違反やコンプライアンス違反のリスク

個人のWebメールアカウントを業務で使用する際、誤って関係のない宛先に送信してしまうと、個人情報や機密情報が漏洩する可能性があります。また、個人利用のクラウドストレージサービスに無断で社内の情報を保存してしまったり、設定ミスによってファイルが意図せず共有されてしまうと、情報漏洩につながる危険性もあります。万が一情報漏洩が起きてしまうと、個人情報保護法や業界特有の規制に抵触する場合もあり、企業全体としてコンプライアンス違反に発展してしまう可能性があります。

運用コスト・管理工数の増大

情報システム部門で管理していないIT資産が増えることで、情報システム部門が把握できる範囲を超えてしまい、運用コストが膨らむ要因となります。たとえば同じ機能を持つサービスが部門ごとに重複契約されている等、無駄なコストが発生することもあります。また、障害やセキュリティインシデントが発生した際に、調査・対応にかかる工数が増加し、業務効率を大きく下げてしまいます。

5:情シス担当者が直面する課題

情報システム部門の担当者がシャドーITによって直面する課題には次のようなものがあります。

把握できないIT資産による管理の手間

シャドーITは「存在を知らない」ことが最大の問題で、統制が効かず管理工数が増えます。管理対象外のクラウドサービスやアプリを把握できないままでは、統制を効かせることができず、結果的に管理工数が大幅に増えてしまいます。

利用状況の不明による対応遅れ

従業員がどのサービスをどの程度利用しているかを把握できないと、セキュリティリスクに迅速に対応することができません。利用状況の不明確なままでは、ライセンスの最適化やコスト削減の判断材料も得られず、適切なIT運用が難しくなります。

限られた人員・予算での対応負荷

多くの企業では、情報システム部門の人員や予算が限られています。シャドーITが増えると、本来の業務に加えて調査・対処に追われ、担当者の負担は増える一方です。結果として、重要なセキュリティ対策やシステム改善の取り組みが後回しになり、リスクをさらに拡大させる恐れがあります。

6:シャドーITへの対策

シャドーITのリスクを抑えるには、まず「どのようなIT資産が利用されているのか」を正確に把握することが第一歩です。実際に従業員がインターネット上から自由にダウンロードしたアプリや、フリーWi-Fi経由で利用している外部のクラウドサービスなどは、セキュリティ部門が想定していないケースが多く、マルウェア感染や情報漏えいといった危険を招きます。そのため、シャドーITをなくしていくには、単にシャドーITとなっているものを禁止するだけでなく、「なぜシャドーITが発生してしまうのか」という理由を深掘りし、社内環境や既存の利用製品に不満がないかを従業員にヒアリングすることが解決へのヒントになります。

可視化と監視体制の強化

まず有効な対策は、社内ネットワークへの接続状況や利用中の端末を監視し、シャドーITの存在を発見できる仕組みを整えることです。具体的には、CASB(Cloud Access Security Broker)のようなクラウドサービスへのアクセスを監視・制御するソリューションを導入すれば、従業員が使っているクラウドサービスを一覧化し、未登録のアプリ利用を検知できるようになります。ログの取得や分析を行うことで、危険な外部サービスを早期に把握し、脆弱性を突かれる前に制御することができます。また、近年ではSaaS管理プラットフォームのサービスも登場しており、CASBよりも低予算で利用状況やライセンスの確認が可能です。

シャドーITを正規ツールへ:会社が公式に提供するメリット

従業員が業務効率化のために外部サービスを使わざるを得ない場合もあります。たとえば、取引先との共同作業では、無料で利用できるメールサービスや無料のファイル共有サービスを使いたくなることもあるでしょう。
こうしたニーズを放置せずに、法人向けに適した正規ツールを準備することが重要です。使用を禁止するのではなく、安全かつ使いやすい代替手段を提供すれば、従業員のストレスも軽減し、満足度の向上にもつながります。
さらに、会社としてツールを統一することで、情報漏えいやセキュリティリスクの低減、IT資産の一元管理、コンプライアンスの強化といった効果も期待できます。

社員教育と従業員の意識向上

次に欠かせないのが、従業員へのセキュリティ教育です。メールの誤送信やパスワードの使い回しと同じように、シャドーITの利用が会社にとってどれほど大きな被害や損害を生む可能性があるのかを、実際に起きた事件を例に解説すると効果的です。定期的にセキュリティセミナーや社員教育を実施し、従業員が危険を「自分ごと」としてとらえられるきっかけを作りましょう。

アクセス制御

いくら従業員に教育を行っても、インターネット上には便利に見える外部サービスが数多く存在するため、完全に利用をやめさせることは難しいのが実情です。そこで重要になるのが、会社として許可していないクラウドサービスやWebサイトへのアクセスを自動的にブロックする仕組みを導入することです。アクセス制御を行えば、従業員が誤って危険なサービスに接続してしまうことを防ぎ、マルウェア感染や情報漏洩といったリスクを大幅に減らせます。禁止サービスと利用可能なサービスを明確にルール化することで、従業員にとっても「安心して仕事に使えるサービス」がわかりやすくなります。

問い合わせ窓口の設置

従業員が気軽に問い合わせできる窓口を設けることも有効です。「こんなツールを使いたいが、社内で許可されているか?」と事前に相談できる環境を整えれば、無断利用を防ぎやすくなります。さらに、新しいツールやシステムを導入した際には、「すべての従業員が利用できるのか」「希望者だけが対象なのか」といった利用条件を明確にし、社内に発信することが大切です。こうした情報共有があるだけで、従業員は安心して正規のサービスを利用でき、業務の効率化にもつながります。

定期的な見直しとプランニング

一度ルールを作って終わりではなく、定期的なレビューと改善が欠かせません。まずは社員が利用しているクラウドサービスやアプリを週や月単位で確認し、未承認のサービスが利用されていないかを確認します。同時に、SaaSのライセンス利用状況や契約内容を見直し、未使用のライセンスや重複契約があれば整理していきましょう。これにより、コストの最適化とシャドーITの抑制を同時に進めることができます。また、社内ルールが適切に守られているか、異常なログインや不審なデータの動きがないかを定期的に監査することも大切です。さらに、会社で許可していないクラウドサービスや危険なWebサイトへのアクセスを制御する仕組みを導入すれば、シャドーITの発生を未然に防げます。

7:情シスの負荷を軽減するには

IT資産を可視化し、ライセンスや利用状況を一元管理できる仕組みを導入すれば、セキュリティリスクの早期発見とコストの最適化が可能になります。セキュリティリスクを最小限に抑えるためにも、徹底したIT資産管理が必要不可欠です。

ISM CloudOneで解決できること

ISM CloudOneは、PCやサーバー、モバイル端末といったあらゆるIT資産を自動で収集・管理できるクラウド型のIT資産管理ツールです。管理外のクラウドサービスを早期に把握できます。さらに操作ログを取得・確認することで、不審な操作を可視化して内部不正の抑止にも繋がります。また、管理状況やセキュリティリスクをレポートに出力することで、現状把握や改善策の検討ができるようになります。ISM CloudOneはクラウドサービスとして提供しているため、テレワーク中の端末も含めて一元管理でき、初期費用なしで導入できる点も大きなメリットです。

8:まとめ

シャドーITは、社員が会社に承認を得ずに導入したクラウドサービスやアプリケーションにより発生する、企業が把握していないIT資産のことです。クラウドサービスは手軽に利用でき、従業員の生産性向上や柔軟な働き方を支援しますが、適切に管理されていないと情報漏洩などのリスクが発生します。また、SaaSサービスの普及やリモートワークの拡大により、見えない資産(シャドーIT)は増加傾向にあり、情報漏洩、ライセンス違反、運用コスト増大などのリスクを企業にもたらします。また、情シス担当者は、管理の手間や可視化ができない状況、限られたリソースで対応する負荷といった課題にも直面します。こうした課題を解決するためには、IT資産を正確に把握し、一元管理する仕組みが重要です。
シャドーITのリスクを放置すると、企業の情報資産やコンプライアンスに重大な影響を及ぼす可能性があります。会社の状況に応じてツールを活用することで、リスクの低減と業務効率化を両立し、情シス担当者の負担も大幅に軽減できます。

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