初回公開日:2021年2月1日
退職時に業務で扱っていたデータや資料を持ち出しても問題ないのか、疑問に思ったことはないでしょうか。
顧客情報や取引先リスト、営業資料、設計書などのデータは会社の重要な資産です。
退職者によるデータの持ち出しは、情報漏洩や営業秘密の流出につながるおそれがあり、企業にとって大きなリスクとなります。
また、「自分が作成した資料だから持ち出しても問題ない」「退職後であれば発覚しない」と考えてしまうケースもありますが、持ち出したデータの内容や方法によっては、情報漏洩や法的トラブルに発展する可能性があります。
本記事では、退職時のデータ持ち出しはどこまで許されるのか、実際に発覚した事例やよくある手口、企業が行うべき対策について解説します。

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- 退職者のデータ持ち出しは“どこまで把握できていますか?”IT資産とログで可視化する方法
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1:退職時のデータ持ち出しはバレる!その事例
退職時のデータ持ち出しは、後から発覚するケースが少なくありません。
実際に、退職者が顧客情報や営業秘密を持ち出し、転職先で利用したことが発覚して問題となった事例もあります。退職後に返却されたPCやアカウントの利用履歴を確認した結果、不正なデータのコピーやメール送信の痕跡が見つかるケースもあります。
退職前に大量のファイルコピーや個人メールへの送信が行われた場合でも、操作ログやアクセスログから発覚するケースがあります。これらのログには、いつ・どのファイルにアクセスし、どのような操作が行われたかといった履歴が記録されているため、不正なデータ持ち出しの痕跡が残ることがあります。
「退職するから分からないだろう」「データを削除すれば発覚しないだろう」と考える人もいます。しかし、企業では操作ログやアクセス履歴、メール送信履歴などを取得している場合があり、退職後に調査が行われることもあります。
また、持ち出した情報の内容や利用方法によっては、損害賠償請求や法的責任を問われる可能性もあります。そのため、退職時のデータ持ち出しは、本人が意図していなくても後から発覚するケースが多く、軽い気持ちで行うべきではありません。
2:退職時のデータ持ち出しはどこまで許される?
退職時のデータ持ち出しについては、「自分が作成した資料だから持ち出しても問題ない」「退職するのだから会社に返す必要はない」と考えられることがあります。しかし、業務で作成・取得したデータの多くは会社の資産であり、内容によっては情報漏洩や法的トラブルにつながる可能性があります。ここでは、退職時のデータ持ち出しがどこまで許されるのかを解説します。
業務データは会社の資産である
業務で作成・取得したデータは、基本的に会社の資産として扱われます。たとえ自分が作成した営業資料や提案書であっても、業務の一環として作成されたものであれば、個人の所有物ではありません。そのため、業務上必要な範囲であっても、会社の許可なく個人の判断で持ち出すことは原則できません。
たとえば、顧客情報や取引先リスト、営業資料、設計書、社内マニュアルなどは、企業活動を支える重要な情報資産です。これらのデータを退職時に個人のPCやUSBメモリ、クラウドストレージへ保存した場合、情報漏洩につながるリスクがあります。
また、退職後に転職先で利用する目的がなくても、「念のため保管しておきたい」という理由で持ち出したことが問題となるケースもあります。そのため、退職時には自身の判断でデータを持ち出すのではなく、会社のルールや管理者の指示を確認することが重要です。
退職時に持ち出してはいけない情報とは?
退職時には、顧客情報や個人情報、営業秘密にあたる機密情報を持ち出してはいけません。
具体的には、顧客リストや取引先情報、契約情報、見積書、製品の設計情報、開発資料などが該当します。これらの情報は企業活動において重要な価値を持つため、退職後も個人が自由に利用できるものではありません。
また、データを持ち出したつもりがなくても、個人メールへの添付送信やクラウドストレージへの保存、USBメモリへのコピーなどによって、結果的に情報の持ち出しと判断される場合があります。
「転職先で参考にしたい」「自分が担当した案件だから保管しておきたい」と考える人もいますが、会社の許可なく持ち出すことは避けるべきです。
退職時に持ち出しても問題になりにくいものとは?
退職時に持ち出しても問題になりにくいものとしては、一般公開されている情報や、会社の機密情報・個人情報を含まない個人的なメモなどが挙げられます。
ただし、「自分で作成した資料だから持ち出してもよい」「担当していた案件の資料だから保管しても問題ない」と判断するのは危険です。業務の中で作成した資料やデータは会社の資産として扱われるため、個人の判断で持ち出すべきではありません。また、企業によって情報管理のルールは異なります。持ち出しの可否が分からない場合は、退職前に上司や管理者へ確認することが重要です。
退職時のデータ持ち出しで迷った場合は、「自分のものかどうか」ではなく、「会社の許可を得ているか」という観点で判断するようにしましょう。
3:退職前に行われやすいデータ持ち出しの手口
退職時のデータ持ち出しは、必ずしも悪意を持って行われるとは限りません。
「自宅で作業を続けるため」「転職後の参考資料として保管したい」といった理由から、情報を持ち出してしまうケースもあります。
しかし、持ち出しの目的に関わらず、顧客情報や機密情報が社外へ持ち出されれば、情報漏洩につながる可能性があります。ここでは、退職前に行われやすいデータ持ち出しの手口について解説します。

USBメモリへのコピー
USBメモリへのコピーは、退職時のデータ持ち出しでよく見られる手口の一つです。
USBメモリは手軽に利用でき、大量のファイルを短時間で保存できるため、顧客情報や営業資料、設計書などのデータを持ち出す際に利用されることがあります。また、USBメモリだけでなく、外付けHDDやSSDなどの記録媒体へデータをコピーするケースもあります。業務で使用しているPCに接続するだけでデータを保存できるため、本人に悪意がなくても、退職前に必要な資料を保管しようとして情報を持ち出してしまう場合があります。
しかし、会社の許可なく業務データを外部媒体へ保存する行為は、情報漏洩につながるリスクがあります。そのため、多くの企業ではUSBメモリの利用制限や接続履歴の管理などの対策を行っています。
個人メールへの転送
個人メールへの転送も、退職時に行われやすいデータ持ち出しの手口の一つです。
例えば、顧客情報や営業資料、提案書などのファイルを、GmailやYahoo!メールなどの個人メールアドレスへ送信し、自宅のPCやスマートフォンから閲覧できる状態にするケースがあります。
なかには「退職後の引き継ぎの参考にしたい」「転職先で活用したい」「自宅で確認したい」といった理由で行われることもあります。しかし、会社の許可なく業務データを個人メールへ送信する行為は、情報漏洩につながるリスクがあります。
また、メールは送信後に削除したとしても、送信履歴やログが残る場合があります。そのため、本人は気付かれていないと思っていても、後から発覚するケースも少なくありません。
クラウドストレージへの保存
クラウドストレージへの保存も、退職前に行われやすいデータ持ち出しの手口です。
クラウドストレージとは、インターネット上にファイルを保存できるサービスのことで、Google DriveやOneDrive、Dropboxなどが代表的です。
業務で使用しているPCからファイルをアップロードするだけで、社外からもデータを閲覧できる状態になります。
たとえば、顧客情報や営業資料、契約書などを個人のクラウドストレージへ保存した場合、会社の管理が及ばない環境へデータが持ち出されたことになります。また、共有設定のミスやアカウントの不正利用によって、第三者へ情報が流出するリスクもあります。
クラウドストレージは利便性が高い一方で、データを簡単に保存・共有できるため、企業では利用ルールの整備やアクセス管理を行うことが重要です。
印刷や画面撮影
データの持ち出しというと、USBメモリへのコピーやメール送信をイメージする人が多いかもしれません。しかし、印刷や画面撮影によって情報が持ち出されるケースもあります。
例えば、顧客リストや営業資料、設計図などを紙に印刷して持ち帰ったり、PC画面をスマートフォンで撮影したりすることで、データを外部へ持ち出すことが可能です。
これらの方法は特別なソフトや機器を必要とせず、誰でも簡単に行えるため注意が必要です。
また、印刷した資料や撮影した画像は、紛失や誤送信によって情報漏洩につながる可能性があります。データの持ち出し対策を検討する際は、USBメモリやメールだけでなく、紙媒体やスマートフォンでの撮影による情報の持ち出しについても考慮することが重要です。
4:退職者による情報漏洩を防ぐためには?
退職者によるデータ持ち出しを完全になくすことは簡単ではありません。しかし、事前に適切な対策を講じることで、情報漏洩のリスクを大幅に低減することが可能です。
特に、技術的なセキュリティ対策だけでなく、社内ルールの整備や従業員への教育を組み合わせて運用することが重要です。ここでは、退職者による情報漏洩を防ぐために企業が取り組むべき対策を解説します。
アクセス権限を適切に管理する
退職者による情報漏洩を防ぐためには、従業員のアクセス権限を適切に管理することが重要です。業務上必要のない情報にアクセスできる状態になっていると、退職前に顧客情報や機密情報を閲覧・取得できてしまう可能性があります。そのため、日頃から業務に必要な範囲のみにアクセス権限を付与する「最小権限」の考え方を徹底することが大切です。
また、退職が決まった従業員については、業務に支障が出ない範囲でアクセス権限を見直すことも有効です。特に共有フォルダーやファイルサーバー、クラウドストレージなどは、多くの情報が保存されているため、不要な権限が残っていないか確認しておきましょう。
アクセス権限を適切に管理することで、情報の閲覧や持ち出しが可能な範囲を限定し、情報漏洩のリスク低減につながります。
情報持ち出しに関するルールを整備する
情報漏洩を防ぐためには、情報の持ち出しに関するルールを整備し、従業員へ周知することも重要です。
たとえば、「個人メールへの業務データの送信を禁止する」「許可なくUSBメモリや外付けHDDへデータを保存しない」「個人のクラウドストレージへファイルをアップロードしない」といったルールを明確にしておくことで、不適切なデータ持ち出しの抑止につながります。また、ルールを策定するだけでなく、情報セキュリティ教育を継続的に実施することも大切です。従業員が情報漏洩のリスクや会社のルールを理解していなければ、悪意がなくても情報を持ち出してしまう可能性があります。
そのため、情報持ち出しに関するルールの整備と教育を組み合わせ、組織全体で情報セキュリティ意識を高めることが重要です。
退職時のアカウント管理を徹底する
退職時には、PCやスマートフォンの回収だけでなく、業務で利用しているアカウントの管理も徹底する必要があります。
近年はMicrosoft 365やGoogle Workspaceをはじめとするクラウドサービスの利用が一般的となっており、多くの業務データがクラウド上に保存されています。そのため、アカウントが有効なままになっていると、退職後でも情報へアクセスできてしまう可能性があります。
また、メールサービスやオンラインストレージ、チャットツールなどは、社内外とのやり取りやファイル共有に利用されることが多く、機密情報や顧客情報が含まれているケースも少なくありません。
そのため、退職時にはアカウントの停止や権限の削除を速やかに行い、不要なアクセスを防ぐことが重要です。併せて、共有フォルダーやクラウドストレージのアクセス権限についても見直しておくとよいでしょう。
5:退職者のデータ持ち出しは操作ログ管理で対策
退職者によるデータ持ち出しは、アクセス権の制御や社内ルールの整備だけでは完全に防ぎきることが難しいケースもあります。特に、正規の権限を持つ従業員による持ち出しは、事前に検知することが困難な場合があります。そのため、情報漏洩対策として重要になるのが、操作ログを活用した管理です。操作ログを取得することで、万が一の不正行為が発生した際にも状況を把握しやすくなり、原因の特定や再発防止につなげることができます。
ここでは、操作ログ管理の重要性と、具体的な活用方法について解説します。
操作ログ管理が重要な理由
操作ログ管理が重要な理由は、退職者によるデータ持ち出しの多くが「後から発覚する」ものであるためです。
操作ログについて詳しく知りたい方は、関連記事「PC操作ログとは?その重要性と種類、管理における注意点を解説」もご覧ください。
USBメモリへのコピーや個人メールへの送信、クラウドストレージへのアップロードなど、データの持ち出し行為そのものは目に見えにくい場合があります。しかし、PC上で行われた操作はログとして記録されていることが多く、後から確認することで不正なデータの移動を特定できる可能性があります。
たとえば、どのファイルがいつコピーされたのか、どのメールに添付して送信されたのか、どの端末から外部ストレージへアクセスされたのかといった情報は、操作ログによって把握できる場合があります。
このように操作ログは、情報漏洩の「証拠」となるだけでなく、不正行為の抑止にもつながる重要な仕組みです。
ログ管理や内部不正対策をさらに強化したい場合は、統合的な管理が可能なツールの活用も有効です。操作ログ管理の仕組みや活用方法について詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。

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- 【関連資料のご紹介】
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ISM CloudOneによるデータ持ち出し対策
退職者によるデータ持ち出し対策としては、操作ログの取得やアラート機能を活用することで、不正な操作を早期に検知し、情報漏洩のリスクを低減することが可能です。
例えば、ファイルのコピーや外部デバイスへの書き出し、メール送信などの操作を記録・監視することで、通常業務とは異なる不審な動きを把握しやすくなります。
また、こうした機能を活用することで、万が一情報漏洩が発生した場合でも、原因となった操作の特定や影響範囲の確認が行いやすくなります。
さらに、日常的にログ監視が行われていることを従業員に周知することで、不正なデータ持ち出しの抑止効果も期待できます。
実際の動作イメージについては、過去セミナー動画でも紹介しています(※登壇内容は当時のものです)。
退職時のデータ持ち出しは、検知と抑止を組み合わせた仕組みによってリスクを大幅に低減することが可能です。
6:退職時のデータ持ち出しは「ルールと監視」で防ぐ
退職時のデータ持ち出しは、アクセス権限の管理や社内ルールの整備だけで完全に防ぐことが難しいケースもあります。特に、正規の権限を持つ従業員による情報持ち出しは、事前の検知が困難な場合があります。そのため重要なのは、ルール整備や教育といった「予防」と、操作ログの取得による「検知・追跡」を組み合わせた多層的な対策です。
また、クラウドサービスの利用が一般化した現在では、PCだけでなくアカウントやオンラインストレージの管理も含めた総合的な対策が求められます。
こうした仕組みを整えることで、退職時のデータ持ち出しリスクを抑え、情報漏洩の未然防止につなげることが可能です。

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